2021/11/24
目次
ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症について
ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症は、性経験のある女性の多くが感染する一般的なウイルスです。
HPVに感染することで子宮頸がんや尖圭コンジローマといった病気を発症する可能性があるため、HPVについて正しく理解し、予防法を学んでおくことが重要です。
今回はヒトパピローマウイルス(HPV)とは何か、またHPV感染症の予防法やワクチン接種について解説していきます。
また、もりのぶ小児科では、HPVワクチンの接種を行っています。
下記のボタンよりお気軽にお問い合わせください。
ヒトパピローマウイルス(HPV)とは
ヒトパピローマウイルス(HPV)はヒト乳頭腫ウイルスともよばれ、性の経験がある女性の50%~80%以上が感染する可能性があると言われているウイルスです。
ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染経路は、主に性行為が原因とされています。
性体験の際に皮膚や粘膜の微小な傷口から侵入し、細胞に感染することがわかっています。
HPV感染による主な病気は?
ヒトパピローマウイルス(HPV)は、女性の50%~80%以上が生涯で一度は感染するといわれています。
ヒトパピローマウイルス(HPV)の遺伝子型(タイプ)は、およそ150種類以上あることが確認されています。
悪性腫瘍の発生に関係するHPVには、16、18、31、33、45、52、58型などがあり、「高リスク型(発癌性)HPV」
また肛門がん・外陰部がん・膣がん・陰茎がんなどの、
HPV感染症の検査
ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症の検査には主にHPV DNA検査と細胞診の二つがあります。
HPV DNA検査
ヒトパピローマウイルス(HPV DNA)検査は、ウイルスに感染しているかどうかを調べる検査方法です。
感染したと思われる陰茎部や子宮頸部などの患部の細胞を用いて、ウイルス感染の有無を調査します。
細胞診
細胞診は、細胞が癌に進行する前の異形成の状態(前癌病変)なのかどうかを調べる検査方法です。
HPV検査と同様に感染したと思われる陰茎部や子宮頸部などの患部の細胞を採取後に顕微鏡を使い、異形成の有無を調査します。
HPV感染症の治療法
ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症は、免疫系が健全であれば治療をしなくてもウイルスが根絶します。
子宮頸がんと尖圭コンジローマに対する治療法をそれぞれ解説していきます。
子宮頸がん
子宮頸がんの治療はがんの大きさや転移の有無によって大きく異なります。
早期の子宮頸がんに対しては、子宮を温存するための治療として子宮頸部円錐切除術という部分切除が行われます。
一方、子宮を残すことを希望しない患者さんに対しては、子宮の全摘術が選択されます。
進行した子宮頸がんについては、放射線治療と抗がん剤治療を中心に行います。
尖圭コンジローマ
尖圭コンジローマに対する治療法には主にレーザー、電気焼灼術、凍結療法、手術があります。
病変部を焼灼や切除して除去します。
HPV感染症を予防するには?
ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症を予防する方法は、主にHPVワクチン接種、コンドームの使用、子宮頸癌の定期健診です。
一つずつ項目を解説いたします。
HPVワクチン接種
ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン接種は、
ワクチン接種については後ほど詳しく説明します。
コンドームの使用
避妊器具であるコンドームの使用は、ヒトパピローマウイルス(HPV)の予防にある程度効果的です。
ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症は性行為により感染するウイルスのため、罹患した男性から女性にうつるケースがあります。
そのため陰茎部にコンドームを装着することで、HPV感染症のリスクが下がります。
子宮頸癌の定期検診
子宮頸がんの定期検診で「HPV DNA検査」と「細胞診」のスクリーニング検査を行うことで、ウ
HPVワクチン接種について
ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン接種は、前述した通りヒトパピローマウイルス(HPV)感染症を予防する方法の一つです。
ワクチンの仕組みを利用し、体内にHPVの免疫を持つことでヒトパピローマウイルス(HPV)の感染リスクを減らします。
ワクチンを接種することで、ハイリスクHPVやローリスクHPVの遺伝子型などに、持続的な感染の予防効果が期待できます。
初めて性交渉を経験する前に接種することが重要です。
また、対象年齢以外の方であっても実費で接種することができます。
2022年現時点でのヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンは、3種類のワクチン(サーバリックス®・ガーダシル®・シルガード®9)が販売されています。
令和4年10月の予防接種部会(国の審議会)で、来年度から定期接種で利用できる方針が示されました。
厚生労働省のHPには、「令和5年度早期から定期接種を開始できるように準備をしています」と記載されています。
実際に接種できるには、流通が安定するなどの課題があるので、まだ時間がかかると思われます。入手できることを待つより、ガーダシルやサーバリックスで接種を受けることをお勧めします。
サーバリックス? (2価) HPV16型、18型 (子宮頚癌から最も多く検出)
ガーダシル?(4価) HPV16型、18型 HPV6型、11型(尖圭コンジローマ等の原因)
シルガード?(9価) HPV16型、18型 HPV6型、11型 HPV31型、33型、45型、52型、58型(高リスク型HPV)
HPVワクチン接種スケジュール
ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンには、接種スケジュールが設定されています。
前述した通り、どのワクチンでも合計3回の接種が必要です。
サーバリックス®の場合は、標準の接種であれば1回目と2回目は1ヵ月空けて、1回目と3回目は6ヵ月空けます。
標準的な接種ができない場合は、1回目と2回目に1ヵ月以上空けて、1回目と3回目は5ヵ月以上かつ2回目と3回目に2か月以上空けます。
ガーダシル®とシルガード®9の場合は、標準の接種であれば1回目と2回目は2ヵ月空けて、1回目と3回目は6ヵ月空けます。
標準的な接種ができない場合は、1回目と2回目に1ヵ月以上空けて、2回目と3回目に3か月以上空けます。
HPVワクチンのキャッチアップキャンペーン
2022年4月から、積極的な接種勧奨を差し控えにより、接種機会を逃した方に対して、時限的に定期接種の対象外でも接種を受ける事(キャッチアップ接種)が可能になりました。
対象者は、誕生日が1997年4月2日から2006年4月1日の助成で、過去にHPVワクチンの接種を3回受けていない女性が対象になります。
公平な接種機会を設けるための措置ですので、この機会に是非接種を受けて下さい。
当院は新宿区以外にも、大阪市の定期接種の委託を受けております。
住民票が大阪市で東京の大学に来られている大学生の方が受けに来られております。
詳細はお問合せください。
HPVワクチンは男性も接種できるの?
ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン接種は、男性でも厚生労働省が認可(2020年12月)しています。
ただし男性が接種できるワクチンは、不活化ワクチンのガーダシル®のみで、実費でのワクチン接種となります。
男性の場合は、性の経験がある90%以上がHPVに感染する可能性があります。
遺伝子型がハイリスクHPVの場合は癌になりやすく、男性は陰茎部の感染で陰茎癌が進行する可能性があります。
また、遺伝子型がローリスクHPVの症状では、性器・尿道・膣・肛門などにイボ(尖圭コンジローマ)が現れる可能性があります。
HPVワクチンの接種費用
当院でのヒトパピローマウイルス(HPV)
つまり女性であれば公費(無料)対象者の小学校6年生~高校1年生の期間に、HPVワクチンを接種することがおすすめといえます。
ワクチンの接種はこちら
もりのぶ小児科では、HPVワクチンの接種を行っています。
下記のボタンよりお気軽にお問い合わせください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
参考文献