2022/08/14
不活化ポリオワクチンとは
ポリオ感染を予防するために導入されている不活化ポリオワクチン。
ポリオによる小児まひなどを防ぐためにも必要な不活化ポリオワクチンですが、どのような効果や特徴があるのでしょうか?
今回、不活化ポリオワクチンについてご紹介した上で、その接種時期や回数、生ワクチンとの違いについてもご紹介します。
・不活化ポリオワクチンの効果
・不活化ポリオワクチンの接種回数
・ポリオの症状
不活化ポリオワクチンに関する理解を深める際の参考にしてください。
是非最後までご覧ください。
また、もりのぶ小児科では、不活化ポリオワクチンの接種を行っています。
下記のボタンよりお気軽にお問い合わせください。
不活化ポリオワクチンについて
不活化ポリオワクチンとは、ポリオウイルスによる感染を予防するためのワクチンです。
2012年9月より、定期接種ワクチンとして単独不活化ポリオワクチンが導入され、現在では四種混合ワクチンとしてワクチン接種が可能です。
また、ポリオワクチンには不活化ポリオワクチンと、生ポリオワクチンがあります。
以前は、生ポリオワクチンが定期接種に使用されていました。生ポリオワクチンはポリオウイルスの病原性を弱体化させて作られたワクチンです。
しかし、不活化ポリオワクチンは、ポリオウイルスの免疫をつくるために必要な成分を取りだして作られた病原性のないワクチンです。
不活化ポリオワクチンは生ワクチンとは違い、ポリオ様症状の副作用がないことが特徴です。
ポリオワクチンの効果とは
ポリオワクチンは、ポリオへの感染を防ぐために効果をもたらすワクチンです。
日本では1960年にポリオ患者が5,000人を超えるほど流行しましたが、生ポリオワクチンの導入によって流行がおさまりました。
さらに、1980年に一例が確認されて以降、野生のポリオウイルスによる感染患者はでていません。
しかし、中央アジアやアフリカ諸国では、いまだポリオが流行している地域もあります。ワクチンが行き届かない地域で発生しています。また、ポリオワクチンウイルスと、その仲間のエンテロウイルス(感冒などの原因になります)が交雑して、ポリオウイルスの病原性のあるウイルスに変わってしまい、そのウイルスによる地域発生も起こります。
接種回数・接種時期について
不活化ポリオワクチンの接種回数は全4回です。
定期接種は生後2カ月以降から開始します。1か月ごとの間隔を空け、3回の接種をします。
さらに、3回目の接種から約1年後(6カ月以降)に4回目の接種を行います。
欧米では、0歳の間に2回の接種、1歳で3回目の接種、4-6歳に4回目の接種を行っている国もあります。
移民等の人口の流入があり、学校現場での感染対策が必要のために、小学校入学前に接種をスケジュールされています。
ポリオ(小児まひ・急性灰白髄膜炎)について
ここからはポリオについてその症状や感染原因などについて説明します。
ポリオの症状・経過について
ポリオウイルスは、感冒を起こすエンテロウイルスの仲間の一つです。ポリオウイルスが感染しても、ほとんどの場合は症状が現れないか、かぜに似た症状をきたす程度です。
しかし、まれに手足のまひを伴うケースもあります。
仮に、手足のまひを伴うと、その後も後遺症として障害が残ってしまう可能性もあります。
ポリオの感染原因
ポリオウイルスは人の糞便に含まれて排泄され、汚染水や食物から人の体内へと入り込みます。
経口から体内に入り込んだポリオウイルスは、咽頭や粘膜で増殖した後、最終的に脊髄前角細胞や脳幹の運動神経ニューロンを破壊し、まひなどの症状を引き起こします。
予防法について
予防は、ワクチンの接種が有効です。
日本では四種混合ワクチンまたは、不活化ポリオワクチンによる予防接種が可能です。
接種方法
生ワクチン :経口接種(日本では実施されなくなりました)
不活化ワクチン:皮下接種(1回0.5mlを皮下に注射)
※現在の日本の定期接種では、五種混合(DPT-IPV-Hib)か、ポリオ単独ワクチン(IPV)として接種
五種混合ワクチンについては、以下の記事で紹介しておりますので、ぜひご覧ください。
▶︎五種混合ワクチン(DPT-IPV-Hib)
また、五種混合ワクチンは百日咳ワクチンとしても有効とされています。
百日咳については、以下の記事で紹介しておりますので、ぜひご覧ください。
▶︎百日咳とは?症状や治療方法、ワクチンについて解説
経口生ポリオワクチンとの違いは?
ここからは生経口ポリオワクチンについて、不活化ポリオワクチンとの違いや、使用のリスクなどについて説明します。
生ワクチンは、ウイルスの病原性を弱体化させてつくられたワクチンです。
不活化ポリオワクチンに比べ、生ポリオワクチンの方が免疫をつくる効果が高いとされています。
しかし、経口生ポリオワクチンの場合には、まれに副作用として小児まひを引き起こす可能性があり、生ワクチンが関連して起こる麻痺をポリオ関連麻痺といいます。
ポリオワクチンでは病気を発症しませんが、ポリオウイルス以外のエンテロウイルスとポリオワクチンウイルスの交雑が起こり、小児麻痺の原因になる事例が国内外にありました。
このことを、二次性ワクチン由来ポリオ様麻痺(Vaccine associated paralytic polio: VAPP)といいます。
一方、不活化ポリオワクチンは無毒化されているため、副作用として小児まひを起こすことはありません。
そのために、経口ポリオワクチンから不活化ワクチンに変更され、このような事例は報告されなくなっています。
ただ、生ワクチンがきちんと温度管理が難しい等の理由で効果的にワクチン接種ができていない一部の地域ではポリオウイルスの発生事例が続いております。
不活化ワクチンは高価であり、このような地域では使用が難しいので、経口ワクチンが使用されます。
こうした理由から、現在は日本では不活化ポリオワクチンが使用されています。
まとめ:不活化ポリオ
不活化ポリオワクチンに関する内容や、効果を中心にお伝えしてきました。
要点を以下にまとめます。
・不活化ポリオワクチンの効果は、ポリオへの感染を予防することができる
・不活化ポリオワクチンの接種回数は、全4回
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。